丸梯子のある家

京都北部日本海側に面する町にあり、道路より一段上がった場所にある古民家です。カヤ葺きの家として建てられたものですが後になって大屋根部分を日本瓦屋根に改修され、数回にわたり下屋を追加された建物です。かつては玄関から奥に向かって土間で炊事場があり、玄関左側は牛を飼っていたところや便所があった昔の農家の建物でありました。炊事場が土間にあったものを昭和30年代に入り、床を上げ、天井を張った部屋に改修しましたが、天井の低い部屋となっていました。土間にあったかまどにより太い梁、大黒柱は黒くいぶされて存在感のあるものとなっておりました。外部は海に近い所から土壁の上に杉板貼りとなっております。屋根裏は藁や焚き木の置き場として使われていました。屋根裏には土間玄関から丸梯子で上り下りをしており丸梯子は今も存在していました。このような現況の為、内部の暗さ、所々での段差、天井の低さ、水廻りの刷新等を望んでおられました。

暗い、天井が低い、床の段差があるといった問題点を解消するにあたり、まず余り使われていない部分(下屋)を減築することにより、外からの明るさや換気を取り入れることができました。段差に関しては、和室に入る部分のみ全て同一レベルのバリアフリーとし安全で動きやすくなりました。低い天井については横断している梁の最高高さ(1.9M)を基準として床の高さを決定しました(従来より少し下げています)。ただ既存より床下が少し低くなったため床下換気には十分配慮しました。同線の中心となるホールを広く取り、洗面、トイレ、DKへの動きが単純化し、煩雑さも解消できました。玄関は屋根裏まで吹き抜けとなっており、暗くぼんやりした空間で風の強い日にはスス、ホコリが落ちてきていました。屋根裏の床梁の位置に天井を張り明確な天井となり、屋根裏に上がる丸梯子は屋根裏床梁まで残し、天井面に横引の入り口戸を取り付けました。大黒柱や黒くいぶされた梁は化粧として見えるようにし、丸梯子と共にこの家の歴史として存在感を表しています。また外部は海風対策として海岸側によく使われている杉板の張り替えとし、その上に古色を塗装し白壁とのコントラストを明確にした外見としました。

田園地帯の大きな家

築66年の空家を夫婦で購入された。
改修にあたって、ご夫婦の要望を上げていただいた。
ご主人様:漫画などの書物がたくさんあるので書棚が欲しい。
奥様:リビングで仕事をしたい。食品庫、ファミリークロゼットが欲しい。手持ちのステンドグラスを入れたい。キッチン前の壁にタイルを張りたい。

築年数が新しいが、庭も立派で敷地が300坪近くあり、建物自体も100坪近くある大きなお屋敷。
2階は、ほとんど手が付けておらず、物置程度に使用されていた状態であった。
1階部分だけでも大きなスペースのため、キッチンや浴室等を移動させ急な2階への階段を付け替えて、2階の実質的な改装は次回とした。

施主様は自然素材に興味があり、寝室に現しの丸太梁をみせ、磨いてオイルフィニッシュ仕上げとした。
リビングの床は生き節のある杉板とし、手足にも優しい仕上げとした。
食品庫の扉は左右使い勝手に合わせて、1枚の扉をスライドする形にした。
キッチンのダクトが天井高により露出となったが、スパイラルダクトを使用し美観も損なうことなく仕上げられ雑音についてもクリアすることができた。
床のオイル拭きは、家づくりに参加していたき愛着を持っていただけるよう施主様施工とした。

農業に挑戦する家

施主様は、築年数不詳・空家の古民家を購入。農業にも挑戦したいという30代女性。
草刈りや農作業での刈り払い機・チェンソー・耕運機を使う。
キッチンは食器類を見せたい。作業台があるとよい。
書斎には机と、絵(イラスト)を描く用の大きめの作業台がほしい。
薪ストーブ設置を希望。仕上げについては、新建材よりレトロなものが好き。

現況の構造材を見せ、レトロな仕上げと薪ストーブの設置場所に配慮した。
キッチンは、施主様の希望であったアイランド型とした。
本がたくさんあるため、作り付けの本棚を作成。

汚水配管を通すため砦のように積まれていた石を撤去し、なるべく既設のアプローチ通路を傷めないように施工を行った。

鉄板覆いの草葺民家に耐震性を持たせた“温故知新”の家

若いご夫婦から、なくなられた御祖父様の家があり、古材を活かしたリフォームがしたいとご相談をいただいた。
ご夫婦のご両親は新建材の家の方が好みとのことで、造りすぎず古いものと新しいものを融合させた家づくりを目指すことにした。

最近は各地で地震が多く耐震を考慮した家づくりも要望されていた。
まず耐震構造設計を行い、構造補強には耐力面材・金物を使用して基準をクリアした。
もうひとつ補強にはしっかりした基礎が必要であり、家を持ち上げる工事からの対処となった。

各個室は既存の梁が低く天井高さが思うように取れなかったが、そこを活かし勾配天井や船底天井にした。
玄関、ダイニング、リビングは古民家の醍醐味である梁を出し、豊かな広がりを表現。
畳コーナーはゴロンとくつろぐ事の出来る床の生活を提案した。
食品庫はキッチンから脱衣、洗面室への動線を確保するとともに収納という2つの機能をもたせた。
居住性については、アルミ+樹脂のLow-e 複合サッシを用い、気密性と防音性を確保した。
内装は古民家の良さを際立たせる様に無垢材に昔ながらの左官仕上げを多用した。
天井裏に隠れていた丸太梁を生かし磨き上げて、改めて存在感を出させ“温故知新”を再現した。