続。梅雨の合間の建前2軒!

梅雨に入ってこの6月に3軒の建前を行いましたが、ラッキーなことに1軒も大きな雨にたたられていません。昨日と本日の建前とも、雨に降られないうちにルーフィングまでの処理を行うことができ、梅雨のこの時期としてはうれしい上棟となりました。
2軒の建前とも、街中からは離れた場所にあるのですが、1軒のお宅は、兵庫県の豊岡市の日高町。郡部まで全てが都市計画地域となってしまい、里道とおもわれる田舎道に2項道路の適用扱いなど、確認申請の手続きに設計者が苦労しておりました。もう1軒のお宅も、車庫なのですが、市街化調整区域や急傾斜等の規制区域のため、こちらも手続きに手間取り、担当者の苦労もさることながら、施主様にも大変辛抱していただきました。
最近は、街中であろうと田舎の1軒屋であろうと、建築確認申請の困難さを痛感いたしております。ただ、お役所仕事は、住民のためというより、自分たちの職の安全だけをかばう為の手続きのように思えるのは、私だけなのでしょうか?かくいう私も14年間余り公務員であったのですがね・・
その苦労が報われるかのような2軒のお宅ですが、梅雨ではありますが、雨にもたたられず無事屋根仕舞までできたことに感謝いたしております。合掌!
こちらは豊岡市の故郷のお宅を改築されたお客様のお宅です。

当社は解体をお願いされていたのですが、古材=古財の一部を保管して改築に使用することをご提案!
施主様は快く当社のご提案をご了承していただき、お子様たちと故郷で過ごすお宅の建築決意されたのです。


廃材となる運命だったこの古材=古財たちは見事よみがえりました。




贅沢な平屋です。昔の面影のある小さな越屋根も付いています。

もう一つのお宅は、大きな車庫なのですが、確認申請に手間取り、大変お客様にはご辛抱いただきました。申し訳ありません。やっとのこと建前ができました。

梅雨の合間の建前!?


先週、当社が販売していました宅地に、買主様が新築住宅を計画され、無事念願の上棟式を挙行することができました。
今回の住宅を計画された御夫婦は、私の子供たちと同じ30前後の世代の方たち。新築に携わった世代も30代。現場を管理する監督も、自らも新築を計画している30代です。
当社は、「mukuru夢来」という若い世代の注文住宅にも挑戦し、オリジナルの住宅を希望されている方の夢をかなえることを何よりの喜びにしています。
今回の住宅も、今までの構造材とちょっと違っています。構造材はすべて国産材、土台にはヒノキを使用していますが、多くは宮崎県のオビ赤杉を使用してみました。
杉には、脳と自律神経に作用して鎮静リラックス効果があるようです。「奇跡の杉」でも有名になった特殊乾燥技術をもつ愛工房さんの杉でつくった化学物質過敏症対策のベットやセラピー効果のある部屋などは有名になりましたね。
今回当社は、神戸の「木童こどう」さんという木材会社を通じて構造材を仕入れています。
震災の影響のある新建材や設備機器が、今回ほとんど使われる予定がなかったため、ほぼ順調に建前をむかえることができました。大雨の予想された金曜日でしたが、当日は晴れ間となり、上棟をむかえる日としては申し分ない一日でした。
お天道様とお施主様に感謝!感謝!
大雨が予想された金曜日!朝礼と施主様のごあいさつの後いよいよ作業開始です!


大勢のギャラリーに見守られた建前です。大工さんも午前中は緊張していました。

午前中は大分捗(はかど)っていました。

今回構造材に丸い穴・ホゾが見えますが、これは込栓(コミセン)という仕口や継手などを固定する堅木の栓を埋め込む穴なのです。

おかげさまの天気で、午後には棟上げができました。



屋根仕舞いは杉の合板を貼り、その上にビルボードという防音と遮熱のための材料を貼ります。
屋根はGL鋼板葺きにしました。もちろん、屋根裏には断熱のためのセルロースファイバーを乾式吹き込み工法というデコス社の工法で吹き付けます。

建前には上等?の日でありました。

田舎の空き家や古民家を調査して感じること。

田舎の昔のままの住宅の調査をしてみて、いつも感じることがあります。それは、家の周りの排水機能が極めて不十分な住宅が多いということです。土地が広い分、昔から排水は垂れ流し、末端で自然浸透か土掘りの水路ぐらいのところが多かったのでしょう。
昔は、どこの住宅もそうだったのですが、家の改築や造成計画、また浄化槽や下水道の普及・道路や河川改修による排水路の整備などによって、多くの住宅地は排水処理の問題をクリアしてきました。
 ところが、大きな敷地のまま保存され、残されてきた古民家は、水周りもあまり手を加えられることなく、排水施設もそのまま残されてきた場合が多いのです。
結果、冬の住宅の北側は春まで積雪が残り寒く、梅雨の間はジメジメとぬかるんだ状態がみられ、住人にとって最も憂鬱な状態であったといえます。建物自体もほとんどが北側となる家の裏側の構造体が最も傷んでいるのが実態であります。
また住人の方々から聞かれる最も多い言葉は「湿気をなんとかしてほしい!」です。
そして、この大きな要因が家の周りの排水計画ができていないことが一番なのです。
ところが、みなさん家の間取りや近代的なキッチン、システムキッチンなどに費用が集中してしまい、中々外周りの排水まで費用を考えておられません。
当社の建築の設計者にしても、家内部のディテール(詳細)は提案するのですが、中々外周りの終末処理まで、緻密な見積もり提案ができていないというのが現実です。
 結局のところ予算も関係してくるために、外周りの排水計画にどうしてもお金をかけられないというのが実態のようです。
当社の場合、その少ない予算の中で、建築担当者から常に最後の仕舞いの仕事を依頼されるのが、土木部の専務です。「そんな予算でできるわけないやんけ!」となるわけですが、「土木の岸下」という手前、手を抜くわけにはいきません。かくて、土木部の仕事は赤字状態ということになってしまっているわけです。
当社では、古民家再生の場合にほとんどの場合、床下までめくり、コンクリートを打設し、床下の湿気等を極力抑える工事からおこないますが、予算がない場合もあります。そんな場合の解決策は、とりあえず、家裏の排水処理を解決し、床下をめくり、(当社の炭焼き小屋でできた)竹炭をシート上に大量に敷き込み、湿気やムカデ等に対する対応を考えることにしています。
今後は、設計当初の段階から、外周りの排水費用も十分見ていただくことが快適な住まいづくりになることを強調していきたいと考えています。
家の裏がこんな状況のお宅が多いです!

排水が見えませんね!

こちらのお宅は改修途中なのですが、月日がかかるため、裏の湿気の要因を取り除くことにしました。


上のような状態を、とりあえず改修まで年月が空くため、湿気の要因を取り除きました。

幸せと繁盛を招くもの?!

当社の経営理念の文言の中に「…福をもたらす会社を目指す」とあります。

そんな大それたこと言う会社の代表である私が、ちょっとだけ期待していることがあります。
最近、こんな出来事に小さな「幸せ・繁盛」を求めてしまいます。もう一つ、宝くじにも・・・
では、動画をご覧ください。

「日本伝統木造の心」きんき民家塾への参加!


日本民家再生協会(JMRA)の関西の関係者により開催されております「きんき民家塾」が10周年を迎えるにあたり、特別講座として法隆寺の大野玄妙管長と奈良大学の西山要一教授を講師とした講演会を開催しました。



 場所は、大阪中央区船場の綿業会館。JMRAの関係者行事らしく、ルネサンス風建物で1931年に完成し、現在国の重要文化財に指定されている建物の大講堂でした。
 当社からも私を含め3人が、この特別講座に参加してまいりました。
第一部では、法隆寺管長の大野玄妙氏による「日本伝統木造の心」と題する講演。
 法隆寺は、ご存知のように1300年ほど前に聖徳太子によって建てられた日本の最古の建造物を持つお寺です。聖徳宗総本山といい、末寺を持たないお寺のようで、古いお寺がある奈良では珍しくないようです。
大野管長が129世住職ということです。
さて講座では、仏教の伝来が、日本建築の歴史に大きく関係のあること。仏教文化を取り入れ、「和ヲモッテ貴シトス」と説いた聖徳太子が、法隆寺をはじめとする寺や神社の建立を通じて、大陸からの模倣に始まった木造建築をはじめとする文化を、我が国独自の「和の精神」としてつくりあげていったこと。建物やモノづくりの信仰を通じて、のちに城郭建築や民家の発展にも大きくかかわっていったこと。
 聖徳太子が望まれた「和の精神」、平和な社会形成のための文化遺産を守り継ぐことの大切さを語っていただきました。

 第2部は、奈良大学の西山要一教授との対談でした。西山教授は、文化財の科学的保存処理に力を注いでおられるお方です。私が、埼玉にいるころに話題となりました稲荷山古墳出土の鉄剣から115文字の金象文を発見・保存するなどされており、奈良の文化財の大気環境‐大気汚染観測を25年近く続けておられるようです。
 そのお話の中で、印象に残り知ったこと。
① 正倉院の宝物を守ってきた環境。温度20%、湿度60%の環境であるということ。
② 近代において、日本の文化財保護を最初に訴えたのは岡倉天心であったということ。
③ 日本の保存科学の始まり・・法隆寺金堂壁画の保存であったこと。
④ この保存で今では一般的になっている合成樹脂を使った方法が初めて使われたこと。
⑤ 東大寺の大仏さんの「お身拭い」は大仏さんをさびから守る大事な行事であったこと。
⑥ 大気汚染による文化財への影響が大きいが、春日山などの自然環境が大気汚染防止に大いに影響し、自動車等の排気汚染の減少が文化財に大いに役立つこと。
そのほかに、今の国の文化財行政へのお役人の対応が、先の原子力事故での国の対応と同じく、建物の修復など中々「お役人が判断してくれない」、解釈がマチマチで不条理がある、工事費用はお寺も半分負担するにもかかわらず、役所都合の工事となっているなど、普段聴けない
お話も伺うことができました。
あいさつに起つJMRAの重鎮、小原塾長です。

この特別講座には70名の方が参加されましたが、
大野管長、西山教授、綿業会館大講堂という豪華さが、この人数ではもったいない感じがしました。