田舎の空き家や古民家を調査して感じること。

田舎の昔のままの住宅の調査をしてみて、いつも感じることがあります。それは、家の周りの排水機能が極めて不十分な住宅が多いということです。土地が広い分、昔から排水は垂れ流し、末端で自然浸透か土掘りの水路ぐらいのところが多かったのでしょう。
昔は、どこの住宅もそうだったのですが、家の改築や造成計画、また浄化槽や下水道の普及・道路や河川改修による排水路の整備などによって、多くの住宅地は排水処理の問題をクリアしてきました。
 ところが、大きな敷地のまま保存され、残されてきた古民家は、水周りもあまり手を加えられることなく、排水施設もそのまま残されてきた場合が多いのです。
結果、冬の住宅の北側は春まで積雪が残り寒く、梅雨の間はジメジメとぬかるんだ状態がみられ、住人にとって最も憂鬱な状態であったといえます。建物自体もほとんどが北側となる家の裏側の構造体が最も傷んでいるのが実態であります。
また住人の方々から聞かれる最も多い言葉は「湿気をなんとかしてほしい!」です。
そして、この大きな要因が家の周りの排水計画ができていないことが一番なのです。
ところが、みなさん家の間取りや近代的なキッチン、システムキッチンなどに費用が集中してしまい、中々外周りの排水まで費用を考えておられません。
当社の建築の設計者にしても、家内部のディテール(詳細)は提案するのですが、中々外周りの終末処理まで、緻密な見積もり提案ができていないというのが現実です。
 結局のところ予算も関係してくるために、外周りの排水計画にどうしてもお金をかけられないというのが実態のようです。
当社の場合、その少ない予算の中で、建築担当者から常に最後の仕舞いの仕事を依頼されるのが、土木部の専務です。「そんな予算でできるわけないやんけ!」となるわけですが、「土木の岸下」という手前、手を抜くわけにはいきません。かくて、土木部の仕事は赤字状態ということになってしまっているわけです。
当社では、古民家再生の場合にほとんどの場合、床下までめくり、コンクリートを打設し、床下の湿気等を極力抑える工事からおこないますが、予算がない場合もあります。そんな場合の解決策は、とりあえず、家裏の排水処理を解決し、床下をめくり、(当社の炭焼き小屋でできた)竹炭をシート上に大量に敷き込み、湿気やムカデ等に対する対応を考えることにしています。
今後は、設計当初の段階から、外周りの排水費用も十分見ていただくことが快適な住まいづくりになることを強調していきたいと考えています。
家の裏がこんな状況のお宅が多いです!

排水が見えませんね!

こちらのお宅は改修途中なのですが、月日がかかるため、裏の湿気の要因を取り除くことにしました。


上のような状態を、とりあえず改修まで年月が空くため、湿気の要因を取り除きました。

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