古民家の解体と古材に思う!・・・

最近、古民家の解体の調査を4件ほどさせていただいた。どれも新たに家を再建築するための解体が多いです。残念ながら、全部が当社による再建築というわけではありません。
 中には、屋根が落ち、再生するには数千万円の費用がかかるであろう立派な家もあります。こちらは、思い出の古材を一部使い、小じんまりした家の建築を目指すことでなんとか古材を生かそうとしています。



解体費用にあまり無駄なお金をかけたくないということもあり、なんとか古材を買ってもらえないかという相談が多く、調査にいきます。こういう物件は、確かに梁や桁・柱などの構造材にケヤキや松などの大きな部材を使用していることがあり、いつも匠の素晴らしさに感動させていただくことばかりなのですが、ではいざ使い道があるかといえば、同じ構造材としての使用は皆無に近いのが現実です。大きすぎて、現在新築する材料としては使用不能となるわけです。
 実際、意匠的にもきれいで新築の建物に活かせる古材は非常に少なく、今の建物にあった太さや長さといったサイズが乏しいのも現実です。
 古民家再生の中で、移築再生というのがあります。これは大変費用のかかる仕事だと思います。これは、施主様が解体時からの費用に対する理解と古材に対する思い入れがないとできないと思っています。
 費用をかける限り、再生時に、やはりきれいな仕上がりや強度をもとめるのは当たり前のことですので、どうしても全てを古材で再生することに抵抗を感じ新材の使用を考えてしまいます。その使用のバランスが難しいですね。虫食いのあとの残る古材を使うべきか否かなど・・・



また、昔の匠が建てた家をバラス(手解体)というのは、大変に抵抗がありますね。やはり魂の入った物が、一つ一つの部材に変わることによって魂が消えていくのがわかります。やはり部材になると存在感のある大きな梁や大黒柱などは別として、ほとんどが弱々しくて、再び使えるのかという気になりますね。大黒柱などもバラサれてしまうと「こんなもんだったの?」と結構貧弱に見えるときがあります。
 こう考えると、現地でバラサずに再生していくのが最も良いのではと思っています。傷んだ部分を直し、住みやすいように組み替える。これが一番なのではないでしょうか。



 通常人が住まなくなりますと家は傷みが早く、屋根から朽ちていきますが、人が住んでいる限り、何とか修繕は効くものです。あきらめてしまわず、再生させていただいたお宅もたくさんあります。
それでも再生がだめなら、新築の一部に旧家の思い出の部材を使わしていただくことです。こちらも構造材としてだけではなく、意匠材としても十分活用があると思います。

 一番困るのが、遠方に古民家があり、そのままにしておくと大きな家なので近隣に迷惑がかかるという場合です。
そんな場合は、一つは田舎への移住を考えている方への売却です。当社は不動産部門でこのような方々への仲介をお世話させていただき、都会からの方々との交流を図っています。
また、どうしても費用をあまりかけたくなく、価値ある大きな家の処分を考えておられる方には、当社も加盟しています日本民家再生協会(JMRA)の民家バンクへの掲載をご紹介いたします。譲り受けたいという方(移築再生希望者)がおりましたら、譲り受けということも可能です。
 ともかく、価値ある古材をどのようにしたら有効に残していけるのか考えています。今でも毎日100年以上たった古民家が解体され、価値ある古材のほとんどがチップになっています。本当の木の強度を発揮(ヒノキは150年前後が最も強度を発揮)することなく、次々と消え去っていく古材をどうしたら守れるのか、解体の見積もりを頼まれるたびに思います。

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