日本民家再生協会事業者の会・・鎌倉編

2月の5・6日と日本民家再生協会JMRAの登録事業者の会の研修会に参加してまいりました。開催場所は神奈川県の鎌倉市という風光明媚な観光名所や寺院などが顕在する地です。
 私は、もともと関東生まれなので小学生のころより何度か訪れていまして、車で2~30分のところに我が家の墓地もある曹洞宗の菩提寺があることから、今でも鎌倉の近くまでは頻繁に訪れています。
 今回は、事業者の研修と古い建物の見学会ということもあり、ゆっくり鎌倉を探索してみようということで泊まりがけでの参加となりました。

参加者は全国に100事業者近くいる登録事業者の中から30余りの業者が集合しての研修会です。
 一日目は、登録事業者の会の事務局より、相談員講習の趣旨説明と民家バンクの登録までの調査の流れや実態説明などが行われました。

続いての講演では、「地域の伝統技法が消えていく・・・古建築・河村邸調査」という演題で、高知からお見えになられました元四国職業能力開発大学校教授の中脇修身先生の講演を聴講させていただきました。
 中脇先生のお話は、江戸末期から明治にかけて建てられた高知の古民家の主屋や土蔵の調査の記録を映像や図面を使って御報告され、とくに土佐漆喰について特徴的な技法や特質について詳しくご説明をいただきました。

 現在では、土蔵や純日本建築でしかお目にかかれない漆喰ですが、そのなかでも特徴的な土佐漆喰については、今回初めて聞く内容でした。
 本来の伝統的な土佐漆喰の工程は、近くでとれる石灰岩を窯で焼き上げるところから始まるようです。窯が1000℃前後の温度になった時に、粘りの調整に工業塩をふりかけ4日後位にとりだし、放水すると生石灰から消石灰になるそうです。昔は女工が細かく砕き自然消化で粉末にしたのだとか。この粉末にする工程を「ふかす」というのだそうです。
 土佐漆喰は、いつだれが考案したのかははっきりしていないとのこと。土佐漆喰は耐久性の良さから土蔵によく使われたようで、ながせの時期(梅雨の時期)の左官の塗り仕事が一番よいとのことでした。工程も下地の竹を組む(竹小舞)⇒あら壁塗り⇒乾燥⇒中塗り⇒乾燥⇒漆喰塗りと長時間の工程のため、コスト高となり、次第に合理化され、工事量も減り、本来正当にできる左官職人が激減しているとのことでした。
 土佐漆喰は、稲藁のスサを発酵させて、混ぜ合わせて塗るため、塗った当初は土色というか肌色のような色をしているのですが、半年か一年たつと真っ白になるのだそうです。
鏡面のような仕上げになり、仕上げは手のひらを使って磨くのだとか。その作業の様子を貴重な映像で紹介していただきました。最近では、土佐漆喰が姫路城の仕上げにも使われているとのこと。
小舞に用いる竹は、やはり木と同じように新月伐採がいいようです。とくに秋の彼岸過ぎの新月に切る竹は虫もつかず、いつまでも壁下地では青いまま100年以上も残されることもあるようです。


小舞を編む縄は、「わらび縄」が最高とのこと。蕨の根っこで編んだ縄です。

有益な研修の後は、当然懇親会です。徒歩で歩き、中華料理の有名なお店で懇親会となりました。
この日の宿泊場所や鎌倉見学については、明日ご報告いたします。

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