古民家再生と古材活用

年明けから取り組んでいます「150年間続いた酒造場の移転に伴う」建物の撤去が一段落しました。といっても、道路築造のための、建物を取り除く作業の1ステップが終了したというだけのことなのですが・・

 母家本体の復元と蔵の移築という目標の為に、母家については手壊し解体と主材料の再生、蔵については曳き家(メンヨー)による移動という方法で

親しい会社2社で共同企業体を組んで取り組んでいます。

 とりわけ、手壊し解体部分の母家につきましては、主な解体作業から大工さんの手作業でお世話になるという非常に手間と費用のかかる方法で撤去していきました。解体のための外部足場や内部足場やレッカーの導入という通常では考えられない工程を経て、その「歴史ある建物」は徐々に「価値ある材料」としての姿に変わっていきました。

 あの大きな母家の壁や床の下から、一尺もある欅の柱や一尺以上と思える栗の土台の坐った姿や松の梁や桁が「どうや!すごいやろう!」と自慢げに腕組みをしていましたが、やがてホゾから抜き取られ一つの材料となった姿を見ると、なにか力の抜けたさびしい思いを感じました。

 これまで、たくさんの家を解体し、一部の部材を「古財」として保管し、再生材として新築にも使用するということを続けてきましたが、今回の手壊し解体には、とりわけ感慨深いものを感じました。

確かに保管し再生する材料は150年のおもさが感じられ、すばらしいのですが、一方でやはり魂の抜けた「抜け殻」のように思える感じがしてしまいます。「できるなら、そのままの形で再生してあげたかったなあ!」という思いで一杯です。

 ただ今回は、道路にかかると言うことで、どうしても撤去しなければならず最善の方法での再建築ということで、しかも施主様の費用負担のご理解ということで実現できた唯一の方法であったわけです。

 今後は、一端保管している材料を使用してどこまで魂の入った建物を仕上げていくのかが私達共同企業体に科せられた使命だと考えています。

 新築の家に「古財」を導入すること。「古財」を中心とした材料に再度魂を入れて再築すること。古き歴史ある建物構造を生かし、今の姿に再生させること。厳しく困難な仕事ですが、やはりやりがいのある仕事だと思っています。

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