力天井のある家

京都府舞鶴市(東舞鶴)舞鶴湾内の海岸近くに位置する築100年程の切妻屋根の古民家です。
当初は茅葺屋根で瓦屋根に改修され、その時期に下屋を増築したようです。
平屋としては建ちの高い建物です。そのため、大黒柱、柱共に大きな部材で組まれています。
下屋の軒は普通より長く出ています。このため軒下は広く取られています。ただこの地域は積雪の多い時があり、垂木鼻が折れ、そのため補強がされたと思われます。
太く、大きな大黒柱、梁の魅力ある建物なので、建築主は当初新築を考えられたそうですが、やはり残し再生改修したいと思われたそうです。
内部は、もともと土間と田ノ字形の間取りで、襖等の建具で仕切られていました。そのため、暗く風通しの良くない状況ですし、プライベート面もありませんでした。
改修の要望として、水回り刷新、明るく、風の通る部屋、プライベート確保、太い木組みの存在感を表して欲しいとのことでした。
この建物は、北・西面の土台・柱に劣化、腐食が見られました。上部の梁材は立派な材料で劣化・腐食はほとんど見られませんでした。そこで、この木組みをこの家のシンボルとして考え、設計を進めました。
外観は、大屋根瓦葺き替え、下屋屋根は軒の出の長さを考えガルバ鋼板瓦棒葺きとしました。軒の出が長く、深いことにより建物に安定感のある建物です。
内部は、床の間の和室を残し、手前の和室は縁側を取り込んで、道路越しに海の見える居間としました。また、下屋の軒の深いことが、より柔らかい陽射しと落ち着きのある部屋となりました。
また、DKと一つの部屋となるように仕切りを3枚片引き込戸としました。
玄関は、天井を梁の見える高さまで上げ、正面に太い大きな梁の力強さと曲線の美しさを表しています。ホールはユーティリティと動線の自由性を考え1間幅を取りました。
居間・DKを中心とし、ホールも含めプライベートとしての部屋を確保することができました。
ゆったりとした空間と古材の力強さ、涼風の通り抜け、そして海の見える部屋が出来上がりました。

家の歴史を残す家

京都府福知山市郊外に位置し、周りを田んぼに囲まれた築120年ほどの入母屋造りの屋根を持つ古民家です。現在大屋根は、茅葺屋根の上に菱葺き鉄板屋根になっており、1階の建ちは低く、2階は屋根裏物置となっています。
この家は、時代に合わせ部分改修はあったものの、大切に引き継がれており、このことを最も大事にしたいと思われていました。
間取りが南に面し、和室2部屋、そして中廊下、北側に水回り、茶の間、書斎でした。したがって、内部は暗く、間仕切りの多い部屋で、更に天井が低い状態でした。
今回は、水回りの刷新、暗く風通しの悪さ解消、段差解消、流れの良い動線等の要望でした。
設計にあたっては、建築主の今まで引き継いできたお気持ちを考え、快適性と伝統の調和を心掛けました。
家の中が暗く、天井が低く重い感じを解消したいというご要望より、中廊下を玄関付近部分のみを残し、撤去し、中廊下を取り込み、DK,居間を大きな1部屋としました。従って北面からの明かりを取り込むことができました。
また、天井が低く重く圧迫感があることより、居間部分は2階床梁(化粧梁)露出の吹抜けとしました。動線もすっきりとして動きやすくなりました。
また、居間には薪ストーブを設置し、ゆったりとした穏やかな空間としています。
DKであった部分は、夫婦の寝室とし、吹抜けとし、内部に2階に通じる階段を設け、2階の部屋はロフト的な書斎となりました。
段差については、玄関ホールの床に合わせ和室以外は全てバリヤフリーとしました。
和室との仕切りでは、2部屋とも4本の引き違い建具で仕切られていましたが、2本引き違い建具とし、間仕切り壁として部屋分けを明確にすると同時に、将来を考え、手摺を取り付けられるようにしました。また、壁は耐力壁ともなっています。寝室、DK,居間の梁、床梁は化粧として今までの存在感を残すようにしました。
完成引き渡し時期も12月でしたので、早速薪ストーブでゆったり暖かい時間を過ごすことができました。

吹き抜けを上から見える家

京都北部、大江山の麓に位置する古民家です。建物は築100年程の農家だった家です。過去2回程大きな改修を行って来ています。一度目は茅葺き屋根から日本瓦屋根に改修し、二度目は炊事場等が土間から床上に変わった頃改修した様でした。一階の階高は高く、屋根裏の大きな床上に変わった頃改修した様でした。1階の階高は高く屋根裏の大きな建物です。建築主は50代半ばのご夫婦で現在祖母の3人暮らしで、子供さんは都会に出ている状況です。今回の改修要望は祖母さんは離れの建物に居住されているので、母屋に祖母の部屋を造りたい、また間取りを含め水回りを刷新したい、現在屋根裏は玄関ホール横の廊下の天井面にスライドタラップ階段を利用しているので固定階段を設置し、屋根裏に物入兼小部屋を造りたいと願っていました。水廻りはキッチン・風呂・勝手口土間、洗面、小部屋(洋間)、トイレを煩雑で狭く、窮屈な状態になっているのでゆったりした間取りを要望されていました。

設計にあたって祖母の生活、屋根裏部屋の為の固定階段の新設水廻りの刷新、煩雑の解消が大きな課題としてありました。まず階段の設置について設置場所により全体のプランも大きく変わるため色々と想定した結果、今と背中合わせの寝室の収納部分に階段を設置することがベストと考えました。そして居間、和室ゾーンとDK、老人室ゾーンに区分けしました。建物全てをバリアフリーとすることは不可能でしたので、居間とDKの境界1か所にH=275の段差を設け2つのゾーンに分けました。DKゾーンはDKを中心とし、洗面、トイレ、老人室への短く、明確な動線とし、煩雑さの解消と同時に祖母さんの生活しやすい空間としました。居間、和室ゾーンは屋根裏部屋、階段、寝室を、居間を中心とした空間としました。屋根裏部屋は南面に明り取りの小窓、居間側には引き違い障子窓とし、明り取りと小部屋の解放感を和らげることとしました。また、一階居間は吹き抜けとし、屋根裏部屋からは吹き抜けを上から見ることができ、吹き抜けの裸の化粧梁や木組みの見える空間とし、力強く大きなゆったりとした空間となりました。また、吹き抜けの北面に高窓があり、柔らかな明かりのある空間となり、家の中心の場であり憩いの場となってくれると思います。

丸梯子のある家

京都北部日本海側に面する町にあり、道路より一段上がった場所にある古民家です。カヤ葺きの家として建てられたものですが後になって大屋根部分を日本瓦屋根に改修され、数回にわたり下屋を追加された建物です。かつては玄関から奥に向かって土間で炊事場があり、玄関左側は牛を飼っていたところや便所があった昔の農家の建物でありました。炊事場が土間にあったものを昭和30年代に入り、床を上げ、天井を張った部屋に改修しましたが、天井の低い部屋となっていました。土間にあったかまどにより太い梁、大黒柱は黒くいぶされて存在感のあるものとなっておりました。外部は海に近い所から土壁の上に杉板貼りとなっております。屋根裏は藁や焚き木の置き場として使われていました。屋根裏には土間玄関から丸梯子で上り下りをしており丸梯子は今も存在していました。このような現況の為、内部の暗さ、所々での段差、天井の低さ、水廻りの刷新等を望んでおられました。

暗い、天井が低い、床の段差があるといった問題点を解消するにあたり、まず余り使われていない部分(下屋)を減築することにより、外からの明るさや換気を取り入れることができました。段差に関しては、和室に入る部分のみ全て同一レベルのバリアフリーとし安全で動きやすくなりました。低い天井については横断している梁の最高高さ(1.9M)を基準として床の高さを決定しました(従来より少し下げています)。ただ既存より床下が少し低くなったため床下換気には十分配慮しました。同線の中心となるホールを広く取り、洗面、トイレ、DKへの動きが単純化し、煩雑さも解消できました。玄関は屋根裏まで吹き抜けとなっており、暗くぼんやりした空間で風の強い日にはスス、ホコリが落ちてきていました。屋根裏の床梁の位置に天井を張り明確な天井となり、屋根裏に上がる丸梯子は屋根裏床梁まで残し、天井面に横引の入り口戸を取り付けました。大黒柱や黒くいぶされた梁は化粧として見えるようにし、丸梯子と共にこの家の歴史として存在感を表しています。また外部は海風対策として海岸側によく使われている杉板の張り替えとし、その上に古色を塗装し白壁とのコントラストを明確にした外見としました。

田園地帯の大きな家

築66年の空家を夫婦で購入された。
改修にあたって、ご夫婦の要望を上げていただいた。
ご主人様:漫画などの書物がたくさんあるので書棚が欲しい。
奥様:リビングで仕事をしたい。食品庫、ファミリークロゼットが欲しい。手持ちのステンドグラスを入れたい。キッチン前の壁にタイルを張りたい。

築年数が新しいが、庭も立派で敷地が300坪近くあり、建物自体も100坪近くある大きなお屋敷。
2階は、ほとんど手が付けておらず、物置程度に使用されていた状態であった。
1階部分だけでも大きなスペースのため、キッチンや浴室等を移動させ急な2階への階段を付け替えて、2階の実質的な改装は次回とした。

施主様は自然素材に興味があり、寝室に現しの丸太梁をみせ、磨いてオイルフィニッシュ仕上げとした。
リビングの床は生き節のある杉板とし、手足にも優しい仕上げとした。
食品庫の扉は左右使い勝手に合わせて、1枚の扉をスライドする形にした。
キッチンのダクトが天井高により露出となったが、スパイラルダクトを使用し美観も損なうことなく仕上げられ雑音についてもクリアすることができた。
床のオイル拭きは、家づくりに参加していたき愛着を持っていただけるよう施主様施工とした。

農業に挑戦する家

施主様は、築年数不詳・空家の古民家を購入。農業にも挑戦したいという30代女性。
草刈りや農作業での刈り払い機・チェンソー・耕運機を使う。
キッチンは食器類を見せたい。作業台があるとよい。
書斎には机と、絵(イラスト)を描く用の大きめの作業台がほしい。
薪ストーブ設置を希望。仕上げについては、新建材よりレトロなものが好き。

現況の構造材を見せ、レトロな仕上げと薪ストーブの設置場所に配慮した。
キッチンは、施主様の希望であったアイランド型とした。
本がたくさんあるため、作り付けの本棚を作成。

汚水配管を通すため砦のように積まれていた石を撤去し、なるべく既設のアプローチ通路を傷めないように施工を行った。

鉄板覆いの草葺民家に耐震性を持たせた“温故知新”の家

若いご夫婦から、なくなられた御祖父様の家があり、古材を活かしたリフォームがしたいとご相談をいただいた。
ご夫婦のご両親は新建材の家の方が好みとのことで、造りすぎず古いものと新しいものを融合させた家づくりを目指すことにした。

最近は各地で地震が多く耐震を考慮した家づくりも要望されていた。
まず耐震構造設計を行い、構造補強には耐力面材・金物を使用して基準をクリアした。
もうひとつ補強にはしっかりした基礎が必要であり、家を持ち上げる工事からの対処となった。

各個室は既存の梁が低く天井高さが思うように取れなかったが、そこを活かし勾配天井や船底天井にした。
玄関、ダイニング、リビングは古民家の醍醐味である梁を出し、豊かな広がりを表現。
畳コーナーはゴロンとくつろぐ事の出来る床の生活を提案した。
食品庫はキッチンから脱衣、洗面室への動線を確保するとともに収納という2つの機能をもたせた。
居住性については、アルミ+樹脂のLow-e 複合サッシを用い、気密性と防音性を確保した。
内装は古民家の良さを際立たせる様に無垢材に昔ながらの左官仕上げを多用した。
天井裏に隠れていた丸太梁を生かし磨き上げて、改めて存在感を出させ“温故知新”を再現した。

舞鶴市O邸

築90年程の茅葺屋根をトタンで覆った家で,数回の内部改修や増築を行っている建物でした。
平屋建で屋根裏物置があり,天井が低く,小さく区切られた間取りでしたので,建築主は天井を高く広い空間を希望されました。また,築年数が大きいことから歴史観を残しつつ,高齢のお母様のために出来るだけ段差のないようにとの要望がありました。
周囲を山に囲まれ,湿気がすごい立地のため,柱や梁の腐食がひどく進んでいました。
設計にあたっては,狭く区切られた間取りから広くゆったりとした間取りとし,天井も梁を化粧として見せる位置まで上げ,大きな空間としました。
玄関は入った時に大きく感じるように,洗面,トイレへの通路との仕切りをなくし補強として入れた柱(大黒)を化粧としました。天井を高い位置にし,点検等のため天井から屋根裏に上がれるように化粧の横引戸を取り付けました。
建物は築年数が大きい上に,ひどい湿気で至る所の柱,梁は腐食,割れ,折れがあり,梁補強も含め取り替えに時間を要しました。
居間は南側に庭があるので,縁側の仕切りを取り,一体のものとし,広くまた庭の見える空間としました。
この地域は冬にはかなりの積雪があるため,北面は立上りを高くし外壁をプリント鋼鈑貼とし,内部の湿気対策と床下換気口の対応として床にエアスリットを入れました。
南側の玄関廻りはお母様のことを考えて,玄関へのアプローチをスロープとし,また陽だまりの空間を取りました。

ステンドグラスの光が差し込む家

この建物はお母様が一人で住んでおられましたが,ご夫婦が帰って一緒に住むために改修を行いたいとのことでした。
間取りは田の字型の部屋に一部増築した建物でした。
2世代が住むということから,2つの大きな要点がありました。まず1つは,お母様のこと。もう1つは,夫婦の生活と生き方。
奥様はステンドグラスの趣味をお持ちで,ステンドグラスの映える空間で,暖かくゆったりとした時間を過ごせる空間,食事を作ったり食べたりを楽しくできるようにとの要望がありました。
お母様については,まず安全に過ごせるように段差をなくしてほしいとの要望でした。
設計するにあたって,食事をしたりゆったりとしたじかんを過ごす空間を要望されていましたので,中心となる居間をLDKとし,一部を吹き抜けとし,吹き抜けの南面からステンドグラスの光が入る空間を想定しました。
吹き抜けは2階廊下,寝室に接し,2階ともつながりのある大きな空間にすることができました。
また,吹き抜け,2階廊下の天井は杉の羽目板貼とし,ゆったりとした空間とマッチしたウッディ―の感覚となりました。
また,玄関横の以前洋間であった場所は,玄関から土足で入れるようにし,お客様にも対応できる部屋としました。
居間,玄関,玄関横の部屋の壁は塗り壁とし,質感を感じられる空間となりました。
また,キッチンは食事を楽しむため対面で,L=2700の大きなキッチンを設置しました。
お母様のことを考え,段差解消を行い,必要なところに手摺り等を取り付けました。

古材を活かす二世帯の家

京都北部の綾部市にある昔ながらの里山風景が残る地域に建つ古民家の全面改修です。
この建物は,約140年前に近隣の福知山市に建っていた建物を解体し,福知山・綾部を通っている
由良川を利用し運び,この地に移築されました。
この建物を,後世に繋ぎたいという想いを建築主が家族に伝えたところ,孫の家族がこの意思を受け,2世帯で住める家へと改修することとなりました。
要望としては,①普段の生活は動線含め便利にしてほしい。②お互いのプライバシーは守るようにしたい。③浴室は1つでも,生活スタイルが違うため,キッチンは2つほしい。というものでした。
柱,梁ともに傷みは少なく,また,家の傾きもほとんどなく,とても移築後140年には思えない立派な建物でした。
お互いのプライバシーを守るように,田の字型の居室を間仕切ってつくり,廊下のみでつなぐようにしました。
また,各部屋にはできるだけ既存の梁をみせて古民家の良さを引き出しました。

福知山市S様邸

築100年以上で数回の増改築が行われた2階建の建物です。
当初は養蚕の為の建物ですので,階高は低く圧迫感のある暗く寒いといった印象でした。
階高の低い建物に下屋廻りをさらに増築するため,1階床高を下げたため,床下換気も少なく,水廻り部分には白蟻の跡も見られました。
増改築のため,各部屋が小さく区切られて,動線が重なり不便を感じていました。
また,玄関横の応接間も使用されないまま物置となっていました。
2階は4部屋あり,畳の部屋でした。

建築主の要望として,①暗く寒い状態を直したい。②各部屋の天井の低い空間をゆったりとした空間にしたい。③動きやすい動線。④キッチンに力を入れたい。ということでした。
設計にあたっては,まず建築主の要望である,暗くて寒い空間,キッチンを中心としてゆったりとした動きやすい動線を主眼としました。
薪ストーブのある1階天井を撤去した吹き抜けのあるLDKを中心として,居間,水廻り,階段の流れをスムーズになるように考えました。
また,玄関ホールには大きな収納,部屋ごとの小さな収納としました。
勝手口をキッチン用と洗面物干し用と2ヵ所に設けて外部との繋がりを取り,洗面勝手口は正面玄関横となるため,高い格子で囲いました。
LDKを吹き抜けとする事として,2階各部屋につながる廊下がゆったりとした空間となり,吹き抜けに設置した薪ストーブにより2階の各部屋は暖かい空気で満たされました。
LDKの既存の柱・梁は表しとしてメリハリをつけました。
2階寝室,LDK吹き抜けの天井は高さを取るため,一部勾配天井としています。
玄関廻り外部は漆喰の塗り直しとしています。

田園に建つ古民家

この建物は,福知山市内周辺部の少々小高い位置にあります。
主道路から少し入った場所で,近くには運動公園があり,周辺は田や畑のある環境に建っています。
築100年以上で,土間,田の字型,縁側,廻り縁,中2階のある大きな建物です。
前の持ち主が住まれなくなり数年が経っていましたので,水廻り部分が少々傷んでいたり,屋根(鉄板波板)は赤錆が目立つ状態でした。
建築主は若い夫婦で,この建物は少々大きすぎる感がありましたが,将来を考え購入し,再生に至りました。
梁間隔の大きな建物ですので,夏は涼しいのですが,全体的には暗く寒い建物です。
一部減築し,必要な部分を残す再生となりました。
建物も大きいゆえ,ゆったりとした空間であり,太い柱,梁を残してどっしりとした建物を要望されました。
再生にあたり,この建物の太い柱,梁の力強さ,ゆったりとした空間をとりつつ,プライベートの取れる再生を望まれていました。
人の住んでいる時期がありましたので,傷んでいる箇所の補修から始まりました。
水廻り部分では白蟻の跡があり,駆除を行い,柱根補修を行いました。
玄関ホール一部は,収納部屋とし外窓は既存の面格子を補修して再利用しています。
玄関戸は既存再利用です。
建物の中心となっているLDKは吹き抜けとし,吹き抜けの一部に薪ストーブを置いています。
LDKは胴差し上部を荒壁の上中塗り仕上げとし,下部は珪藻土塗りとし,壁のもつ柔らかさを出し,太い柱,梁の力強さを表しています。
また,天井近くに高窓をとり,明り取りとし,暗かった空間の解消を行っています。
縁側の床板は再利用,建具も再利用しました。
外部の正面は漆喰で塗り替え,その他は焼杉板貼りとしました。
屋根は既存の屋根の上に鉄板小波板のカバー工法として葺いています。

ひなたの明るく暖かい家

この建物は,京都北部の綾部市にある昔ながらの里山風景が残る地域に建つ古民家の全面改修です。
建築主の義祖父母の家を改修し,後世に残したいとの想いから改修に至りました。
建物は,土間,田の字型,縁側のある母屋に2階建離れを増築した建物でした。
この建物は少々大きすぎる感がありましたので,離れを解体し母屋のみの再生となりました。
建築主の要望として,①開放感のあるリビング。②柱や梁を感じられる部屋。③古建具を積極的に再利用してほしい。というものでした。
再生にあたり,耐久性をどのように高めるか,古き良きものと新しいものとの調和をどのように整えるかを前提に考えました。
次に,山が近くにあり,周辺は田畑が広がっている環境であることから,湿気対策としての通風を確保することにしました。
家族団らんの場であるリビングダイニングは,天井を上げ,既存梁を出すことで古民家の醍醐味を魅せました。
既存古建具は,補修し再利用するとともに,意匠としても利用しました。