日本民家再生協会・相談業務に携わるための研修会

・・・・十人の職人がいれば、十通りのやり方がある。
百年前までは、京都の北と南で仕上げが違った。道具を担いで動ける範囲は5km。
 北(西陣)十分に水がある間に鏝をとおす 水波が出来る程度に仕上げる
 南(本願寺)少し水が引いてから鏝をぬらす 押さえ撫ぜ
地域差があって当然、建物にあった壁を塗る
端正な建物は端正な壁、荒々しい建物には荒々しい壁
ある時は激しさを覆い隠し、ある時は壁自らが目立つ
波一つなく塗るもよし、「へたうま」もよし
・・これは、左官講師の佐藤先生の「土壁の多様性」について書かれた一文です。

去る10月の14日・15日と日本民家再生協会主催による研修会が大阪であり、私も初日の14日研修を受けてまいりました。
 この研修会の主旨は、全国で民家再生等に携わる人達の資質の向上と研鑽を目的に、より質の高い技術取得を目指すもので、全国から17名の仲間たちがあつまったものです。

あいさつに立つ日本民家再生協会の金井事務局長です。
初日の最初は、京都で茶室、数寄屋建築の土壁施工の左官業の傍ら、将来を担う後継者育成のため、京都工芸繊維大学や左官業の組合で指導されておられる佐藤ひろゆき先生からの講義を受けました。
 佐藤先生は、著書も出版されており「土壁・左官の仕事と技術」、最近の仕事としては、「京都迎賓館主賓室、パナソニック、光雲荘、平安女学院、明治館」などがあるそうです。
 今回は「土壁の魅力を探る」として、
① 千利休による「聚楽壁」の登場によって、左官職人も明治までほとんど変わらない仕事であったこと。
② 明治以降洋風建築の導入によりモルタル・石膏、最近では樹脂壁が台頭しているが、今では土壁も様々な形で使い分ければよいのでは、粗壁で良し、中塗りで良し、上塗りで良し。
③ 土壁は10年~20年かけて仕上げていくもの。土壁の良さは10年後が100点満点。家は買うものではなく、作るもの。だと。
④ 土壁は耐力壁としても有効。60mmの厚みで1.0の数値60mm以上で1.5の数値、最大2.5の数値まで。
⑤ 防火壁としても有効。土壁は、高熱で火を浴びても、土が素焼化するため、防火壁としても有効だと。
第2講で「民家の発展過程」について講演される、大阪工業大学名誉教授の青山賢信先生
私自身は、最も興味がある内容でした。後日整理して掲載したいと思っています。

そして第3講では、「再生施工例に見る技と知恵」と題する講義。関西での民家協会の重鎮として多くの再生経験をされている輝建設㈱の社長の小原公輝氏の講義。私自身がまだまだ学ばねばならないことを実感いたしました。勉強!勉強!

No Comments

Post a Comment

CAPTCHA


%d人のブロガーが「いいね」をつけました。