「日本伝統木造の心」きんき民家塾への参加!


日本民家再生協会(JMRA)の関西の関係者により開催されております「きんき民家塾」が10周年を迎えるにあたり、特別講座として法隆寺の大野玄妙管長と奈良大学の西山要一教授を講師とした講演会を開催しました。



 場所は、大阪中央区船場の綿業会館。JMRAの関係者行事らしく、ルネサンス風建物で1931年に完成し、現在国の重要文化財に指定されている建物の大講堂でした。
 当社からも私を含め3人が、この特別講座に参加してまいりました。
第一部では、法隆寺管長の大野玄妙氏による「日本伝統木造の心」と題する講演。
 法隆寺は、ご存知のように1300年ほど前に聖徳太子によって建てられた日本の最古の建造物を持つお寺です。聖徳宗総本山といい、末寺を持たないお寺のようで、古いお寺がある奈良では珍しくないようです。
大野管長が129世住職ということです。
さて講座では、仏教の伝来が、日本建築の歴史に大きく関係のあること。仏教文化を取り入れ、「和ヲモッテ貴シトス」と説いた聖徳太子が、法隆寺をはじめとする寺や神社の建立を通じて、大陸からの模倣に始まった木造建築をはじめとする文化を、我が国独自の「和の精神」としてつくりあげていったこと。建物やモノづくりの信仰を通じて、のちに城郭建築や民家の発展にも大きくかかわっていったこと。
 聖徳太子が望まれた「和の精神」、平和な社会形成のための文化遺産を守り継ぐことの大切さを語っていただきました。

 第2部は、奈良大学の西山要一教授との対談でした。西山教授は、文化財の科学的保存処理に力を注いでおられるお方です。私が、埼玉にいるころに話題となりました稲荷山古墳出土の鉄剣から115文字の金象文を発見・保存するなどされており、奈良の文化財の大気環境‐大気汚染観測を25年近く続けておられるようです。
 そのお話の中で、印象に残り知ったこと。
① 正倉院の宝物を守ってきた環境。温度20%、湿度60%の環境であるということ。
② 近代において、日本の文化財保護を最初に訴えたのは岡倉天心であったということ。
③ 日本の保存科学の始まり・・法隆寺金堂壁画の保存であったこと。
④ この保存で今では一般的になっている合成樹脂を使った方法が初めて使われたこと。
⑤ 東大寺の大仏さんの「お身拭い」は大仏さんをさびから守る大事な行事であったこと。
⑥ 大気汚染による文化財への影響が大きいが、春日山などの自然環境が大気汚染防止に大いに影響し、自動車等の排気汚染の減少が文化財に大いに役立つこと。
そのほかに、今の国の文化財行政へのお役人の対応が、先の原子力事故での国の対応と同じく、建物の修復など中々「お役人が判断してくれない」、解釈がマチマチで不条理がある、工事費用はお寺も半分負担するにもかかわらず、役所都合の工事となっているなど、普段聴けない
お話も伺うことができました。
あいさつに起つJMRAの重鎮、小原塾長です。

この特別講座には70名の方が参加されましたが、
大野管長、西山教授、綿業会館大講堂という豪華さが、この人数ではもったいない感じがしました。

1 Comment
  • 矢野利生

    2011年6月6日 at 4:01 PM 返信

    昭和24年1月26日法隆寺の金堂が炎上し壁画が焼損したのをきっかけに昭和25年文化財保護法が制定されました。11月に開催される正倉院展に2回行き直に正倉院も見てきました。天寧寺さんの宝物殿も正倉院を参考にして建設しました。奈良は何度行ってもいいところで。特に奈良まちはいい所ですね。

Post a Reply to 矢野利生 Cancel Reply

CAPTCHA


%d人のブロガーが「いいね」をつけました。