NPO日本民家再生協会誌「民家」への投稿から!

数年前から日本民家再生協会(JMRA)の正会員になっています。昨年の夏、-新名称「日本民家再生協会」記念号(no.67)に、・・我が地域の民家(9)・・京都府北部の民家・・という題材で投稿させていただく機会を得ました。その掲載内容を4回に分けて紹介したいと思います。

●茅葺き民家が多く残る地帯・・

私の住む福知山市をはじめとする京都府北部の地は、嘗ては日本の行政区分では「丹波国」と呼ばれ、山陰道に位置し、現在の京都府中部・北部、兵庫県北部・中部の東側地域にまで及んでいました。

今回は、歴史的に名高い京の都を離れた府北部、丹波・丹後における「民家」について紹介します。

 JR京都駅の一番北西の端に、本州の西の果て下関に通じる山陰本線のホームがあり、そこが丹波・丹後への旅の玄関口となります。

京都駅を出て特急で1時間余り。農家、町家、漁家といったそれぞれ特徴のある民家が点在する風景が見えてきます。美山の藁葺き民家、伊根の舟屋を代表とする伝統的建造物群や地方都市(綾部、福知山、舞鶴、宮津)の町家を始めとする数々の重要文化財の存在です。それはまた、きびしい冬の雪や海の漁との、あるいは洪水とのたたかいを刻む民家の姿でもあります。

恐らく、この京都北部の地は全国的にも、多くの茅葺き民家が残る希なる地帯であると思われます。

ここでは、福知山を中心とした50km圏内に今も残る藁葺き民家についてとりあげます。

●特徴ある四つの茅葺き民家の型・・

 福知山周辺には、次の4つの型の茅葺き民家が存在します。

○北山型民家 ○北船井型民家 ○摂丹型民家 ○丹後型民家

●.北山型民家・・京都市の北部に近接する地帯から

この北山型の茅葺き民家は、昔の丹波東部山地一帯(京都市北部山間部から旧北桑田郡・現在の南丹市北部)に分布し、原則として「妻入り」(妻側からの出入り)で平面の間取りは喰い違い四間取り(四室)を基本としています。

構造は、柱が小屋組内でたち上がり、その上に渡された梁上に棟束を建てる「オダチ・トリイ型」という小屋組です。

屋根の形態は茅葺きの入母屋造に装飾性の高い破風と棟上の「うまのり(千木・チギ)」が特徴となっています。この千木は美山地方では家格を表し、本家筋は7本、分家筋は5本といわれていたとのこと。

土間(ニワ)は「上げニワ」とよばれ、他の室(部屋)の床高をそろえて、土を高く盛り、タタキで磨き上げています。

北山型の分布する地域は、今でも北山杉で有名な産地であり、昔から林業による生活が中心であった為、他の地域の農家型のような広い土間を必要としない狭いつくりとなっており、壁も板壁が多いのが特徴です。

この型の民家が多数存在する地域として、現在南丹市美山町が有名であり、現存する茅葺きの屋根だけで約230棟(2003年現在)あると言われています。とりわけ、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている北地区の集落は、農家住宅の主屋34棟あるなかで離れも含め茅葺きが29棟・鉄板覆いが6棟集中しており、岐阜の白川郷に引けを取らない、すばらしい里景色の地となっています。

また美山町には、年代の明らかな民家としては最古とされる「石田家」(1650年)や、北山型の中でも威容を誇る大庄屋の「小林家」住宅など北山型民家発展を知る上でも重要な建物が多数存在しています。

北山型の石田家住宅(南丹市美山町)

大庄屋の小林家住宅(美山町)

No Comments

Post a Comment

CAPTCHA


%d人のブロガーが「いいね」をつけました。