竹中大工道具館を訪ねて!

 先日、酒蔵解体の中からでてきた”「ちょんながけ」の欅”のお話しをブログで載せましたが、「ちょんながけ」の説明をするのを忘れていました。 大工道具の一種で、梁や柱をつくるときに使用する「削る道具」の「釿」(ちょうな・ちょんな)で削られた痕跡を「ちょんながけorちょうながけ」といいます。

昨年の暮れに、滋賀や愛知で古材や古民家再生に取り組んでいる仲間と神戸の「竹中大工道具館」を訪ねました。 その会館に、その「釿」(ちょうな・ちょんな)が展示されておりました。この「竹中大工道具館」、昭和59年にゼネコンの(株)竹中工務店が最初に本社を置いたゆかりの神戸にと、建設したものです。 ここに、前述した「釿」を始め、カンナ、ノコギリ、玄翁(ゲンノウ)といった有史以来からの大工道具が二万点以上展示されています。

 日本の大工道具は、7世紀末の法隆寺造営の頃には、既に今日の基本的な種類の道具はそろっていたそうです。 故人である東大名誉教授であった村松貞次郎氏は、大工道具への視点―今日における大工道具の意義―という語りの中で、

「日本の大工道具は道具の王者である。すばらしい木造建築の伝統のかげに、大工の肉体の一部となり、心を映して使い馴らされてきた多くの大工道具があった。建物は華々しく人の眼に映るが、道具は大工とともにそのかげにひっそりと退き、・・・・息をひそめて細工の掌中にあった道具を想うと、哀切の念は深い。・・」と述べています。

 今回、酒蔵の解体によって、保管された欅(けやき)柱もまた、この大工道具によって残された痕跡とともに百年、二百年と生かし続けてあげたいと思っています。

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